GUEST

愛敬 尚史(あいきょう ひさし)

スーツを着た男性

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元プロ野球選手。大阪近鉄バファローズ、東北楽天ゴールデンイーグルスで投手として活躍。引退後、2003年から東北楽天ゴールデンイーグルスのスカウトを務め、数々の選手を担当した。


押野 有華(おしのゆか)

電話をしている女性

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スポーツフィールド人事担当。採用担当として年間約500名の新卒面接を担当。他にも採用設計から選考管理、内定者フォローまで幅広く担当している。


目次

■スカウトマンが見る最初のポイントは?

■「何の為に」スカウトをするのか

■スカウトマンは直感と想像力がカギを握る


スカウトマンと人事担当。環境や人数は違うが、どちらも「人を見る仕事」という共通点があります。今回の対談では、スカウトマンが見ている視点をスポーツフィールドの採用担当が深掘りします!

スカウトマンが見る最初のポイントは?

―2021年度のドラフトも注目されました。コロナウイルスの影響により選手を観る機会が減ったと思います。

選手を見る機会が極端に減りました。試合が無くなり、観客も入れない環境で選手を見ることは難しかったですね。

スカウトが選手を見に行く“タイミング”が非常に重要だったと感じています。良いプレーを見れたらいいのですが、調子が悪そうな場合は再度足を運び、選手を見ていました。

私たちも厳しい状況でしたが、何よりもプロ選手を目指していた選手たちが見てもらえる機会も減り、かわいそうでしたね。

―採用に関しても実際にお会いする機会が減り、判断が難しかったと感じています。瞬間でポテンシャルを発揮できる選手もいれば時間がかかる選手もいると思います。愛敬さんは選手を見るときに注意していることはありますか?

バッターボックスに入った時に「打ちそう」と感じる選手や、パッとユニフォーム姿を見た時に「気になる」と感じた選手は何か雰囲気を持っています。こうした第一印象が入ってくる人は、「技術も見てみたい!」と興味が湧きます。

押野さんも採用活動の中で、オンラインで面談するときの顔つきなど見ていると思いますが、おそらく一緒の感覚かなと思います。

―自分が考えていた選手像と実際にお会いした時に違うことはありますか?また、もし悪いギャップだった場合、改善策などは伝えるのでしょうか?

最初の印象と違うことは多々あります。

雑なプレーをする印象を感じていた選手が、実はとてもまじめな選手だったなどプラスになるギャップはありますが、マイナスなギャップももちろんあります。

マイナスなイメージの場合、野球のスキルについてはアドバイスを伝えます。一方で、なかなか会話ができないなどのヒューマンスキルの部分は伝えることが難しいですね。

―ポテンシャルを持つ選手を見つけたときに大切にしていることはありますか?

指導者の方から推薦をいただくときに必ず「自分で努力ができる子か」を確認します。プロ野球の世界は結果が全ての世界です。細かな人間教育をしてくれるわけではありません。

成長するために自ら行動できる選手を獲得したいと思っています。

「何の為に」スカウトをするのか

―「自分で行動する」ということは具体的にはどのような行動でしょうか?

プロ野球チームへ入団すると基本的に寮へ入ります。

そのときに自主練習をしたり、ノートに記録したり、1軍の試合を見て自分に照らし合わせてみる、といった行動です。

伸びない選手は野球に関係のないゲームなどやってしまう。

自分と向き合い努力を重ねることができるかということは私がスカウトするときに非常に重要だと考えています。

―「自分が」と主体性を持って行動する方は採用活動でも非常に重要な部分だと思います。私も大切にしていきたいと感じました。

よく「何の為にスカウティングをしているのか」とスカウト同士で話しますが、結局はチームを強くするためです。

私たちスカウトも「チームのために良い選手を獲得する」という気持ちを持っている人と、「仕事だ」と割り切っている人がいます。いろんな考え方があります。

ただ、「チームのために」と思っているスカウトの方が良い結果に繋がりますし、活躍する選手も多いと思います。

―「何のために」という目的意識は志望動機に繋がると思います。ちなみに、スカウティング活動の中で、選手の志望動機などヒアリングする機会はあるのでしょうか?

プロ野球志望届(志望届を提出した場合、プロ野球のドラフト指名を受ける権利を得る重要な届出書類)を提出した後、面談する機会があります。そこで「なぜ、プロ野球選手を選択するのか」を確認します。

将来の選択が複数ある中、プロの選択をせず企業へ就職できる可能性もあります。

結局のところ答えは「夢だから」と返ってきますが、敢えて「なぜプロの世界でやりたいか」を聞きます。

―その面談のなかで印象に残っている選手はいますか?

調査書(プロ野球各球団が、興味のある選手が在学・所属しているチーム宛てに送る書類)にきれいな文字をびっしり記載してくれた選手には驚きましたね。意識的にきれいに、たくさん書こうとしてくれた行動が大切だと思いました。

野球は団体スポーツです。共同意識は必要です。プロ野球は個々の能力が高くなければいけません。個の力を合わせることでチーム力になります。

ただ、最後は性格や気持ちが重要です。いざという時に頼りになる選手は細かい所に意識できる選手だと思います。

―相思相愛と思っていてもズレが生じてしまうことがあります。考えの不一致を無くすことができるのでしょうか?

基本的には我々は一人の選手を何度も見に行きます。コロナウイルスの時期は別ですが。

選手と直接のコンタクトは禁じられています。外から見ているだけです。接触が出来ない分、選手にスカウトが来ていると気付かせ、「自分を見てくれている」と思わせることが大切です。

スカウトマンは直感と想像力がカギを握る

―スカウトマンが一人の選手に費やす時間はどのくらいでしょうか?

一度目の印象で良いと感じた選手を見ることは一度だけです。気になる選手は10回20回と見に行く選手もいます。

ただ、見に行けば行くほど、選手へ勝手な期待をしてしまいマイナスな部分が気になってしまいます。いつも悩まされますね。

よく、「良いと思ったらその選手に決めなさい」とスカウトとしての恩師に教わりました。ですから、私は「この選手だ!」と決めたらそれ以上は見に行きません。賭けになるかもしれませんが、今までの経験を信じて判断しています。

―覚悟を持って決断されているのですね。

自分の人生、選手の人生を懸けた決断です。私もそれなりの覚悟をしています。

もし、間違っていた選択であったなら、もちろん私はそれ以上スカウトに携わることはないと考えています。その覚悟を持って選手獲得を行っているので、悔いはありません。

担当スカウトから選手の推薦がくるときは必ず「本当に獲得したいか」と質問します。担当スカウトの想いや熱意がどれだけあるのかを確認し、どうしても獲得したい選手だけを推薦します。

上司へ推薦する際は、私も同じ気持ちで絶対に獲得したいという覚悟を持っています。

―私は当社へ興味を持っていただく多くの学生の中から更に上司へ推薦しています。今のお話は採用担当としてとても参考になりました。

ノートパソコンを使っている男性

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スポーツフィールド採用チーム

私たちも300から400人の候補選手から70名くらいに絞ります。仕事の割合は候補選手を絞る方が大きいんです。

押野さんも苦労されているところだと思いますが、候補を絞るのがとても難しいですよね。

候補として最終リストアップした選手は、他球団が注目している可能性もあります。私たちがリストから外したが他球団で活躍していることも多々ありました。この時は悔しいですね。

―リストを絞った中でもビビビッとくる選手はどのような選手ですか?

見に行った時に直感的に身体が反応する選手です。実際に選手とコンタクトを取ることができないため、野球をプレーする姿を見て自分の楽天ゴールデンイーグルスで野球をしている姿を想像しています。

私たちは直感と想像力が大事なんです。

個人的にプロ野球界も会社も一緒だと思います。準備段階で多少の違いはあるが、最終的には直感だと思います。

プロ野球のスカウトと採用活動は共通点がたくさんあると思います。

自信を持って採用活動に取り組んでほしいです。

―愛敬さん、貴重なお話しありがとうございました。


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