GUEST

井手 智(いでさとし)

ポーズをとる男性たち

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プロバレーボール選手。海外(ドイツ)のブンデスリーガでプレーする。

スポーツを通じた社会貢献活動を行っており、地元長崎県のバレーボール普及のためイベント開催など行っている。

Instagram: https://www.instagram.com/satoshi.ide/

■経歴

長崎県立大村工業高校

東亜大学

東レ・アローズ(2014-2020)

ユナイテッド・バレーズ・フランクフルト(ドイツ・ブンデスリーガ)(2020-)


目次

■Vリーグの舞台を夢見て

■各国の選手が集まるドイツへの挑戦

■日本と異なるスポーツを取り巻く環境

■地元、長崎の復興のために

■井手さんが考えるスポーツの可能性


Vリーグの舞台を夢見て

―Vリーグで活躍し、現在はドイツでバレーボールにチャレンジする井手さん。バレーボールを始めたきっかけを教えてください。

小学2年生から始めました。

実家が人気のない山奥で、兄と一緒に通っていました。兄が小学校のバレーボール部に入部したことで、一人で帰ることが出来なくなり、当時の監督が校長先生へ相談し、特別に2年生で(通常は4年生から)バレーボール部に入部しました。

Vリーグを目指すようになったのは、小学生の高学年のとき、長崎県大村市にある『シーハットおおむら』でVリーグの試合を観たときです。

当時、初めて見るプロ選手の身体の大きさや豪快なアタックを観た時に「こんな人たちがいるのか」と衝撃を受けました。同時にバレーボール選手としてVリーグでプレーすることが夢になりました。

―夢が叶い、歴史あるVリーグチームの東レアローズへ入団されました。Vリーグのバレーボール環境はどのような環境だったのでしょうか?

バレーボールに集中できる環境が整っていました。

会社への出勤もオフシーズンに計1ヵ月ほどの出社で、会社としてものすごく応援していただいていたと思います。

また、私が所属していた部署ではバレーボールへの熱量が高く、いつも応援してくれていましたし、私の活躍を自分のことのように喜んでくれました。

最高の環境でした。

各国の選手が集まるドイツへの挑戦

-Vリーグで活躍後、2020年からドイツでプレーされています。ドイツを選ばれた理由を教えていただけますか?

よりレベルの高い環境でチャレンジしたいと考えていました。

海外へは、エージェントを通じて自分のプレー動画を各チームへ送りオファーを待ちます。

結果として、数チームからオファーをいただくことができ、その中からレベルの高いチームを選択しました。

昨年はコロナウイルスの影響により、オファーのキャンセルや渡航の問題など大きな障害がありましたが、無事チームが決まった時は嬉しさよりも安心した気持ちが大きかったです。

バスケットボール選手たちの白黒写真

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写真はご本人提供

―男子バレーボールの世界ランキングを見ると、ドイツに比べ日本はランクが高いのですが、なぜドイツでプレーすることを選ばれたのでしょうか?

ナショナルチームのランキングは日本の方が高いかと思います。日本代表も世界の強豪に勝てるようになりました。

一方で、クラブチーム単位では、日本よりもドイツの方が選手層、技術ともにレベルが高いと感じています。理由として、ブンデスリーガのルールが関係していると思います。

日本のVリーグは、6人入るコートに外国人を2名入れることができます。

ブンデスリーガのルールは、ドイツ人がメンバーにいればOKなので、コートにいる選手が全員外国籍でも問題がありません。つまり、各国の優秀な選手が集まりやすい環境があります。

―各国のオールスターが集まっているイメージですね。井手さんはブンデスリーガのようなルールを日本でも導入すべきだと思いますか?

難しい質問ですね・・・(笑)

私は今のVリーグのルールがいいと思います。日本人選手の育成機関が必要ですし、日本のバレーボールは企業スポーツの側面が多いので、実際にブンデスリーガのように各国から選手を集めて試合を行うことが難しいと思います。

海外の選手から見た日本バレーボール界は魅力的に感じるそうです。会社のサポートは大きいですし、競技引退後も仕事が保証されているケースが多いですから。

―ブンデスリーガに所属する選手のセカンドキャリアはどのような選択をされるのでしょうか?

バレーボールとは全く違う道を歩きはじめる選手が多いです。去年一緒に練習したチームメイトは警察官になりました。

Vリーグとの違いは、デュアルキャリアとして活動してる選手が多いですし、バレーボールに取り組みながらもセカンドキャリアのことを考えて勉強している選手もいます。

日本と異なるスポーツを取り巻く環境

-日本とドイツのスポーツに対する環境の違いについてお聞きしたいです。まず、給与の違いについて教えていただけますか?

日本のVリーグの場合、大企業のサポートがあるので安定した給与を貰えるのではと感じています。

ドイツの場合、セカンドキャリアが保証されていない分、お金の面でプロ選手とそうではない選手の差はあります。また、クラブチームなので活動資金がスポンサー費用だけです。

昨年はコロナの影響で例年通りの活動資金を集めることが難しく、給与カットや契約変更などもあったそうです。

―バレーボールに取り組む環境はいかがでしょうか?

コートやグッズ支給など、日本の方が恵まれていると思います。日本はコートがある体育館の中にジムやミーティングルームなどがあり、設備が充実しています。また、グッズも支給されるため、自ら購入する事はありません。

一方、ドイツの環境はコートの冷暖房が動かないことや、コートとトレーニングジムが併設されておらず、移動が必要になります。

グッズもシューズやテーピングなどの消耗品は自分で購入する必要があるため、多くの選手は個人でスポンサー企業を獲得するために活動をしています。

日本とドイツにはお金や環境など差がありますが、どちらが良いかの甲乙はつけられません。

ポーズをとる男女グループ

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-選手の特徴はいかがでしょうか?協調性を大事にする日本人に対し、ブンデスリーガの選手の特徴をお聞きしたいです。

仰る通り、日本人は協調性を大切にする選手が多いと思います。

一方、ブンデスリーガの選手は自己主張が強い選手ばかりです。

「自分は〇〇な人間だ!」とプレー、私生活とも主張してきます。ブンデスリーガは多国籍ですし、上を目指しているハングリーな選手が多いからだと思います。

地元、長崎の復興のために

-少し話題を変えます。井手さんはクラウドファンディングを利用し、地域貢献を行っているとお聞きしました。

2020年7月に発生した九州豪雨で被害に遭った地元の力になりたいと思い始めました。

もともと、海外渡航に向けた活動資金を集めようと考えていたのですが、九州豪雨で被害に遭った方や、地元の為に復興支援をしようと切り替えました。

結果として、想像以上の方にご協力をいただきました。

設定金額の300万円を集まるか不安でしたが、無事に設定金額を超えることできました。

復興支援に対して、ご協力をいただいた皆様の想いが集まったと感じています。ご支援いただいた方の大半は、県外にいる長崎県民や、地元に縁のある方でした。

長崎出身のアスリートとして、スポーツを通じて貢献できたことは嬉しかったですし、日本人のスポーツやアスリートに対する考えや想いを感じました。

-今後、取り組みたい活動はありますでしょうか?

長崎県は他県と比べて、バレーボール人口が多いものの、今はバレーボールに取り組む機会が少なくなり、競技人口が減っているとお聞きしました。

今後は、地元大村市を中心に長崎県で小中学生向けのバレーボール教室を開催したいと考えています。

復興支援のクラウドファンディングをきっかけに、地元の大村市長と関係を築くことができ、ご協力がいただけそうです。

バレーボール教室などスポーツに取り組む機会を増やすなど、今後もスポーツを通じた社会貢献を行っていきたいです。

井手さんが考えるスポーツの可能性

-憧れの海外へチャレンジし、見事に夢を掴んだ井手さんですが、何かチャレンジすることに悩む方へアドバイスを送るとしたら、どのような言葉を伝えますでしょうか?

迷わず、思い立ったらチャレンジしてほしいです。

犠牲にすることもあると思います。経験がないこと、金銭面、海外であれば言語・・・といった不安がありますが、「なんとなかなる」という強い想いを持ってほしいです。

一生懸命夢を追えば、色々な方がサポートしてくれます。得るものも多く、たくさんの経験や情報を得ることが出来ます。

新しい挑戦をしてほしいです。

白い壁の前に立っている選手たちの白黒写真

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写真はご本人提供

-最後に、井手さんが考えるスポーツが持つ価値/可能性について教えて下さい。

ネガティブな環境や考えを変え、観ている人へ感動と勇気を与えることこそ、スポーツの力だと思います。

東京オリンピックを例にすれば、コロナウイルスの影響もあり、開催することにネガティブな意見がありました。また、そうしたネガティブな意見により、選手たちにもネガティブな考えになったと思います。

実際にオリンピックが開催されると、磨き上げたパフォーマンスを披露する選手の姿、一生懸命に競技に取り組む姿に感動しましたし、元気をもらいました。

おそらく、多くの方も同じ気持ちになったと思います。

スポーツはネガティブなことを変える力があります。今後、もしかしたらネガティブな事が起こるかもしれません。それも、スポーツの力で感動を勇気に変えることができると思います。

私もアスリートの一人として、感動と勇気を与えていきたいと思います。


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