GUEST

岡島 秀樹(おかじま ひでき)

東山高校卒業後、1993年のドラフト会議で読売ジャイアンツ(3位指名)へ入団。のちにメジャーリーグへ挑戦し活躍。日本プロ野球への復帰を経て、再度メジャーリーグへ行くなど、活躍の場を変えながらも2016年に惜しまれながら引退。

独特な投球フォームは“Non-looking delivery”と呼ばれた。愛称はOki-Dokie。


目次

・日米のスポーツ、野球に対する考え、差異

・「個性」を武器に、大切に!

・チャンピオンになるべくしてなる。常勝チームの共通点


日米のスポーツ、野球に対する考え、差異

-今日はよろしくお願いします。岡島さんはプロ野球・MLBの両方で成功されましたが、日本と海外のプロスポーツの違いを教えていただけますか?

日本の場合、小さい時から練習を積み重ねて「プロへ行くこと」を目標としている選手が多く、一つの競技を長く続ける文化がありますよね。

一方、アメリカでは小さい時から色んなスポーツをします。もちろん勝ち負けはありますが、スポーツを「楽しむ」ために取り組んでいます。だからこそ、相手をリスペクトする文化があります。

小さい時から色んなスポーツを取り組むことは良いことだと思っていて、自分に適したスポーツを選ぶことができますよね。

アメリカでは「スポーツの二刀流」で活躍している選手も沢山います。シーズンによって取り組むスポーツを変えていて、暖かい時期は野球をして、寒い時はインドアのバスケットやアイスホッケーを楽しんでいます。

こういった文化は日本にはないものですよね。

練習時間も大きな違いです。日本の場合は練習時間が長いですよね。

子どもでもアメリカでは楽しくスポーツに取り組んでいたけれど、日本に帰国したら練習時間が長く、楽しみを感じられずにやめてしまうというのは良く聞きます。

おそらく、日本とアメリカでは「何を目的にしてスポーツに取り組んでいるのか」ということに大きな違いがあると思いますね。

-スポーツに取り組む目的ですか。

日本の場合、「勝敗」を目的にしていると思いますが、アメリカでは「楽しむ」ことを目的にしていて、「みんなでスポーツを楽しもうよ」という雰囲気です。

日本の練習はウォーミングアップだけで1時間を使いますし、基本的には『練習』が多いですよね。もちろん、僕もこれが当たり前の世界で過ごしてきました。

でも、海外ではあり得ないことです。

アメリカの場合はゲーム形式がメインの練習で、勝ち負けよりも「自分が満足しているか」や「楽しさ」を学ぶ場としています。

日本は負けたら「ショボン・・・」として、親やコーチから厳しい言葉が飛び交います。𠮟咤激励で伸びる選手もいると思いますが、海外では基本的に「褒めて伸ばす」文化なんです。

テーブルの上に座っている男性

低い精度で自動的に生成された説明

-日本では年齢を重ねるにつれて、その競技を主体的に選択しているというより、その競技に専念するしかないという状況になっているのではないでしょうか。2つ以上のスポーツはしないですよね。

日本の場合、一つの競技だけ取り組む文化が根強く、複数のスポーツに関わったり、途中で違う競技へ変えることが難しいですよね。

野球はスポーツの中でも難しいスポーツだと思うんです。投げる/捕る/打つ/走ると色々な要素が詰まっていますし、複雑な動きが多いですよね。野球をやっている人の中で、違うスポーツをしたらもしかしたらもっと活躍する可能性を秘めている人がいるかもしれないと思っています。

アメリカではこういったことが理解されているから、子どもの頃から野球・サッカー・バスケットボール・陸上など色々なスポーツに取り組ませて子どもたちの可能性を広げているんです。

-日本では各チームがキャンプインしました。日本とメジャーの違いはキャンプでもあるのでしょうか?

最近は日本もずいぶん変わってきているとは思いますが、以前はキャンプに入ってからも体つくりをしていきます。練習も時間をかけて全体でウォーミングアップを行い練習に入ります。練習では各セッションに分かれたあと、全体で合わせて、最後に個人練習をしますよね。

そうすると必然的に練習時間は長くなります。

一方、メジャーリーグの場合は、キャンプインした時には各選手は既に体が出来上がっている状態でスタートしますので、すぐに技術練習ができます。トップレベルの選手たちは当たり前のように、オフシーズンを活用してコンディションを整えているんです。

キャンプの期間も2週間程度で、各練習を分刻みで行います。

そして、オープン戦で結果を残すことを考えています。

-日本で試合中心の考えになったのは、ここ2,3年だと思います。

海外からSNSを通じて色々な情報が手に入るようになり、指導者や選手たちがトレーニング法などを取り入れようと動いているからだと思います。

ソフトバンクが強いことには理由があります。短い時間で全体練習を行い、個人練習は選手自ら考えてコンディション調整やトレーニングをしています。

こういった考えや野球を取り組む姿勢があるから、ソフトバンクは強いんです。

-岡島さんは野球以外にやってみたいと思った競技はありますか?

実は、中学生の頃はバレーボールに憧れた時期もありましたが、将来に繋がるんじゃないかと家族からアドバイスされたこともあり野球に集中していました。

特にプロに入ってから僕は野球を「仕事」として取り組んでいました。

趣味であれば途中でやめる選択肢もあったと思いますが、「仕事」となれば結果を残さなければいけないですし、野球で家族を支えなければいけないですよね。

だから他のスポーツに挑戦してみる機会は持てませんでした。

-仁志敏久さんへお話を伺った際、「アメリカで野球の楽しさに改めて気付いた」と仰っていました。岡島さんはいかがでしたか?

僕の場合は、メジャーへ行っても野球は「仕事」という感覚でした。

特にメジャーは結果が全ての世界です。そして、「ファンが全て」の世界です。

ファンが選手のことを厳しく見ていて、日本とは違い年俸や契約内容も全て把握しているんですよ。

だから、年俸の低い選手が活躍すれば「頑張っているな」と評価されますが、年俸の高い選手が不調だと敵/味方問わずブーイングが起きるすごくシビアな世界です。

結果に注目されますし、ファンの顔色もハッキリと分かります。だからこそ結果を出すことが第一。それがファンを大切にすることにつながりますし、ファンサービスも当たり前に行うんです。

-アメリカで生活をする中で「日本の良さ」を感じたところはどこでしょうか?

食事かな。スポーツに取り組む環境は、もちろんアメリカの方がいいです。

ただしトップリーグに限りますが。

マイナーリーグと比較した場合は、日本プロ野球の二軍の方が環境はいいと思います。

マイナーの選手は給料も厳しく、シェアハウス生活、遠征先は二人部屋、食事はファーストフードのハンバーガーなど、トップと待遇が全く違います。

それに比べて日本のプロ野球は、二軍選手でも栄養を考えた食事が用意されていますしトレーニングができる環境もありますからね。

野球のグローブとボール

低い精度で自動的に生成された説明

-メジャーリーグとマイナーリーグの間に、日本のプロ野球がある位置づけですね。

だから、特にマイナーリーグの選手にとっては日本へ来ることが魅力的なのです。助っ人外国人として期待されますし、マイナーリーグより良い環境で野球に取り組めますから。

とはいえやはり、待遇やスケールの大きさはメジャーが一番だと思います。

「個性」を武器に、大切に!

-話題を少し変えます。岡島さんの独特な投球フォームはこれまでに修正をされたことはありましたか?

プロに入ってから「修正しろ」と言われた事がありますが、結果的には貫き通しました。

理由はシンプルで、自分の投げ方で結果が出せたからです。プロは結果が全てですからね。

プロ入りしてからコーチやOBからいろいろとアドバイスをいただく中で、フォームを修正しようという時期もありました。実際にキャンプ中に下を向かないフォームを試したこともありました。

その中でも「そのフォームでプロの世界に入ってきているし、貫いた方がいい」と言ってくれるコーチや先輩がいました。

実際に自分の投げ方の方がコントロールや力の入れ方もしっくりくるんです。僕の得意な『カーブ』も真上から投げることで大きな変化が出ましたし。

ただ、口だけにならないように、周りを納得させるように結果を出すことが重要だと思っていました。

最終的には結果を残すことができたから、自分のフォームを貫くことが出来たと思います。

僕は、個性を大事するべきだと思うんですよね。そして、その個性を伸ばす方がいいと思います。

今、野球の世界大会で日本と海外の差が出始めていますよね。

それは日本の指導法が「型にはめる」からだと考えています。同じようなピッチャー、バッターではなく、個性を活かしたトレーニング方法を見つけていく。世界で戦うためにためには個性が大事なんです。

-確かに、王貞治さんやイチローさん落合さん野茂さんなど活躍した方には強い個性がありますね。

そうです!

おそらく周りからは色々と言われたと思います。その中で自分に合うものを見極めて自分の形や自分の「軸」ができたのではないかと思います。

-岡島さんはどのように「軸」ができたのでしょうか?

僕はコソ練をたくさんしました。人と一緒ではだめだと思っていましたし、人が見ていないところでどれだけ野球に取り組むかが大事だと考えていました。メジャーリーグの選手も人知れず努力しているんです。

-岡島さんは、メジャーリーグの初登板初球での被本塁打や、翌年の不調時などから驚異的な速さで修正を行って改善されてきたと存じますが、PDCAを回す中でご自身で考えていることはありますか?

結果を残すためには、今の自分に何が必要なのかを常に考えていました。

そして、前だけを見ることを意識していましたね。

スポーツでは勝ち負けがあるので、結果が悪い時もあります。その時の悪いニュースは一切見なかったです。

失敗を恐れずに、前だけを見ること。結果を残す為に大事にしていましたね。まあ、僕は投げる時に下を向いていますけども(笑)

強いチャンピオンになるべくしてなる。常勝チームの共通点

-では、日米でチャンピオンになった岡島さんだから感じた「強いチーム」に共通していることは何でしょうか?

どんな状況でも明るいチームは、強いです。連敗していても明るいチームは強い。

そして、キャプテンがチームをまとめ、選手自ら考えて活動できるチームだと思います。

どんな時でも助け合うことを考えて支え合えるチームは本当に強いです。辛い状況だと人のせいしてしまう事がありますが、その時点でチームも個人も負けです。

メジャーで連敗した時は選手だけのミーティングをしたりしていました。かと思うとドンチャン騒ぎをして雰囲気を変えることもあるんです。負けるときはやっぱりチームの輪が出来ていないだけという発想でした。

選手、コーチが助け合い、支え合い、明るいチームが一番強いです。

-最後に、スポーツに取り組む学生へメッセージをお願いいたします。

スポーツには絆があると思っています。

今コロナウイルスの影響で練習や試合が減り、仲間と会う機会が少なくなりました。オンラインで話すことはできても、一緒に過ごすことが出来なくなったと思います。

高校3年間、大学4年間の同じメンバーで戦えるのはその期間だけです。その中で、何かを分かち合うことは大事になってくると思います。仲間と助け合って絆を深めて欲しいです。

メンバーと離れてはじめて分かることだってあるじゃないですか。一緒にフィールドに立つという当たり前だと思っていたことが当たり前じゃなくなるというのはとても辛い経験だと思います。でも、だからこそ一日一日を大切にしてほしいと思います。


Popular Articles

人気の記事

スポーツフィールドは、
アスリートの皆さんの
就職・転職を
応援しています