インタビュイー

児玉 碧衣

筑陽学園高等学校を経て、競輪学校に入学。ガールズグランプリ2018優勝し、同時に初の賞金女王となり、ガールズ年間最優秀選手賞も獲得した。ガールズグランプリ2019ではグランプリ2連覇を達成。2年連続で賞金女王となり、同じく2年連続でガールズ年間最優秀選手賞を獲得した。

インタビュアー

金子 早紀(以下:=)

スポーツフィールドスタッフ。児玉さんと同級生であり、小学校から高校まで一緒にバレーボール部にて汗を流した。大学時代は野球場でアルバイトし、日本屈指のビールの売り子。現在は九州オフィスに勤務。

上野 良太(以下:-)

おなじみスポーツフィールドの広報担当。現役ラガーマンで、ポジションは1番(Prop)。94㎏、50mは7秒くらい。逃げ足も速い。

※写真はご本人からの提供


2019年12月28日。立川競輪場にて、ガールズケイリンの新しい歴史が創られました。史上初の快挙、ガールズグランプリを連覇した女王、児玉碧衣さん。

今回はレース直前の児玉さんへ、ガールズケイリンについてお話を伺いました。

最後に、連覇後の新しい目標もお聞きしております。

厳しかったバレーボール生活

―児玉さん、本日はよろしくお願いします。競輪のお話を聞く前に、小学校から高校までスポーツの基礎を培ったバレーボールについてお話をお聞かせください。

バレーボールを始めたきっかけは近所の友達から誘われたんです。当時、ダンスを習っていたんですが、バレーボールも楽しそうで参加してみたんです。ただ、実際にやってみると練習がつらくて、途中から行かなくなりました。でも、チームメイトや保護者から身長が高いのにもったいないと言われて仕方なく続けたんです。

―周りからの薦めで続けることが出来たんですね。きっかけはさておき、その後高校卒業まではバレーボール一筋で過ごしたんですね。当社の金子さんとも、一緒のチームで。

=そうですね、児玉さんとは小学校から同じチームで、同じ中学、高校に通いました。

―とても高校生活が厳しかったとお聞きしております。

そうですね。友人の父が監督で、小学生の時はとても優しい人でした。ただ、入学したら180°変わって、とても厳しい監督になり・・・ギャップに悩みましたね。高校の選択を間違えたと思いましたよ(笑)毎日がつらくて、早紀(金子さん)と下校するときに文句ばっかり言っていました。

=厳しくてつらかったですね。特に、児玉さんは1年生から試合に出場していた選手だったので、一層厳しい環境だったのかもしれません。

―特につらかった思い出に残るエピソードは何ですか?

『ワンマン』という監督と1対1で行うレシーブ練習で、基本的に大きなミスがあった時に行われる地獄のメニューです。

校内合宿でランメニューした後にワンマンをやり続けました。結果的に足が動かなくなってしまったんです。心身が限界まで追い込まれましたね。倒れたら「お前またそういうことするのか!」と言われて、またワンマンが始まるんです・・・。

=あの時はすごかったです。見てるこっちがつらくなるくらい。

今思えば、足に乳酸が溜まると動かなくなることを競輪で学んだので、それと同じような感覚だとわかりますが、当時は衝撃でしたね。

ワンマンに怯える高校時代は、先生の所にゴミが落ちていたり、靴が並べられていなかったりしたら怒られるので、事前にきれいにしたり、靴を揃えたりしましたね。

今になって振り返ると、この高校生活で良かったと思います。礼儀や挨拶など学ぶことができました。

―高校を卒業してから競輪への道を選ばれたそうですが、きっかけはあったんですか?

高校2年生の進路先を決めるときに、母がたまたまネットニュースでガールズケイリンの記事を見て「やってみたら」と勧められました。体を動かすことが好きだったこともあるし、競輪はオリンピック競技ですし、「倖田來未に会えるかも」と上手く乗せられました。(児玉さんは倖田來未の大ファンです)

実際に、夏に開催される初心者歓迎の自転車合宿に参加してみて、自転車に乗ることが楽しかったので決めました。

競輪について

―勝手ながら競輪と聞くと大きく3つ、ギャンブル・命に関わる・体力的にキツイというイメージを持っています。

確かに、ギャンブルで楽しまれているので、お金がかかっている分ヤジはすごいですし、競輪場は少し怖いイメージを持つ人が多いんですけど、自分が勝ったときに、お客さんが一緒に喜んでくれたりしますし、レースを見に来てくれる友達から「実際に会場へ行くと楽しい」と言われると嬉しいですね。

命に関わる点でいうと、60キロというスピードの中、生身で競い合うので、一度の転倒で骨を折ることは当たり前ですし、打ちどころが悪ければ脳震盪で運ばれます。実際に亡くなってしまったケースもある危険なスポーツです。ただ、競輪にも戦法があって、私は常に一番前で走っているタイプなので、外的要因でケガをすることはないかなと思います。

最後につらいという観点でいうと・・・常に『ワンマン』されている感じですね。

=そんなの耐えられない・・・

それこそ、ラスト一周を走った後、足が震えて立てないこともありますし、練習中はつらくて泣く事もあります(笑)

でも、練習の成果が実を結んだときは、優勝という形で結果が返ってくるので、自分の性に合っていると思いました。自分のペースで進める事が出来るので。

―競輪選手には掛け金に応じて選手へのインセンティブみたいなものはあるんですか?

レースの着順で賞金は決まっています。なので、たくさんお金を掛けられたからお金が多いことはないですね。ちなみに、グランプリは約3分間走って勝てば、優勝賞金1,000万円もらえます!正直、テンションあがりますね。

―競輪の魅力は何でしょうか?

迫力とスピードですね。女子の場合は、ユニフォームと自転車が華やかなので見ていて楽しいと思います。ぜひ、会場に来て迫力とスピードを感じてほしいと思います。

―ガールズケイリンの観客はどのような方がいらっしゃいますか?

ガールズケイリンができて、若いファンが増えたと思います。追っかけみたいな人もいますからね。福岡で会った人が東京にもいる!みたいなこともありますから。ちょっとしたアイドルみたいな感覚なんだと思います。プレゼントをいただくことが多いです。「お土産持ってきたよ」みたいな感じで、化粧水とかいただきます。本当にありがたいです。

―先日会場へ行くと大きな声で応援されている方がいらっしゃいました。どんな応援をされるんですか?

横断幕もありますし、名前入りタオル持って応援している人とか、オリジナルTシャツを着ているファンもいらっしゃいます。

ただ、競輪のルールで、レース前はどんなことがあっても、会場の人と話してはいけないんですよ。なので、応援にも答えたら駄目なんです。八百長とか疑われることもあるので、厳しいんです。

女王、児玉碧衣の誕生

―2018年にガールズケイリンの頂点を獲得した児玉さん。頂点を目指すまでの行動はどんなことを意識していたんですか?

競輪は実力だけでなく、運もないと勝てない世界なんです。

私、自転車が好きで始めたわけではなくて、正直、今もあんまり好きじゃないんですよ(笑)

自分の中ではちょっと活躍できる選手でいいかなと思って、競輪学校を卒業した後もあまり練習していなかったんですよ。練習しなくても優勝できたりして、ビックレースに出場することも増えました。

でも、さすがにビッグレースは勝てなくて。すごく悔しいと思って明日からがんばろうと思うんですけど、寝たら忘れちゃうタイプなんです。次の日になると、「まぁいっか」と思って・・・そんな調子で2年間ビッグタイトル一つも取れずに終わっていました。

3年目の春に、「この1年間は気合を入れてやってみよう」と気持ちを切り替えて、絶対勝てると思って練習を一本ずつ集中して取り組みました。

そうしたら、タイトルが取れたんです。賞金もたくさんもらえましたし、練習することって大事だなと分かったし「この気持ちが重要だな」と思うようになりました。

初めてタイトルを取った時も、走る前に「絶対優勝できる」と思ったんですよ。練習してきた分、自信となってメンタルにも表れたからだと思います。改めて振り返ると練習は大事なことで、結果に繋がることなんだと。やっていてやりがいに繋がりますから。

―継続する事が重要ですもんね。

ただ、グランプリを取った後に達成感がありすぎて、2か月ぐらい全く自転車に乗らなかったんですよ。やる気がなくなって燃え尽き症候群みたいになっちゃって・・・

競輪はオールシーズンなので、ずっとレースがあるからメリハリっていうのが全然なくて。3月にも大きいレースがあったんですが、優勝しちゃって。その時も全然練習をしなかったのに勝ててしまったので、練習に対してモチベーションが下がってしまったんです。

今は年末にグランプリを控えているので少しずつ調子を上げています。

―今は何を目指して走っていますか? (インタビュー当時)

ガールズケイリンでグランプリ連覇を目指しています。今まで、連覇した選手が一人もいないんです。だから初の連覇選手と言われるように気持ちを高めてやっています。

―素晴らしいですね。児玉さんが感じているガールズケイリンへの課題はありますか?

そうですね・・・施設が古い建物なので少し入りづらいイメージがあると思っています。ただ建物を立て直すとなったら簡単な問題ではないし、自分たちだけで、解決できないと思うんです。だからこそ、私たちが知名度を上げて、競輪が注目されるようにならないといけないと思っています。イベントに参加したり、TV番組に出演するなどの活動をしなければいけないかなと。先日、「踊る!さんま御殿!!」に出演させていただいたときは、ツイッターのフォローが500人ぐらい増えました。

自分たちがイベントやメディアへ出て情報を発信していくことや、SNSを使ってファンを獲得していくような、地道なことをしていかないといけないと思います。

―競輪の魅力を知ってもらうには、会場に足を運んでもらう必要がありますからね。

競艇会場へ行くと、小さな子どもや若い人がいるんですよ。最近は「何で競艇はこんなに人気なんだろう」と考えたりしています。

もしかしたら、ギャンブル的にガールズケイリン(7人)、競輪(9人)と比べても、競艇は6人しかいないので、予想が当てやすい事もあるのかなとか思っていたりします。

―なるほど。

でも、競輪は観ていて面白いと思いますよ!競艇やオートレースは乗り物じゃないですか?でも競輪は自分の足で勝負を決めます。自転車もフレームやサドル、ペダルを組み立てて、自分専用にしていきます。

だからこそ、選手一人ひとりに物語があります。そこが、面白いんですよ。

競輪はオススメですよ!実際に目指せる職業だと思います。教師から転職してきたり、グラビアアイドルから選手になった人とか、出身は幅広いですよ。学校は何歳でも受けられるのでいくつになっても目指せます。チャレンジしてみて下さい。

―僕は・・・体重で自転車が壊れそうなので遠慮しておきます・・・

競輪選手のオフとは?

=大きく話が変わりましてオフの日の過ごし方は?

オフは一日ずっと家にいます。ゲーム、アニメ、漫画が好きなので、家でまったりですね。

最近は「鬼滅の刃」にハマってますね。アニメを見た時に絵がきれいだし、面白くて漫画を大人買いしました。あとは、約束のネバーランド、進撃の巨人、ワンピース、キングダム。これが私のベスト5です(笑)

あとはワンちゃんと遊んでいます。カニヘンダックスフントっていう一回り小さいダックスですが、めちゃめちゃ可愛いんです。

―オフ日程は決まっているんですか?

基本的に自由です。自分のタイミングで活動日も休日も決められます。

―日々の生活で気を付けていることはありますか?

特にありません。競輪の場合は体重制限もないので、食事も自由にできます。一番自転車が進む体重があるので、自分自身で見つけていくんです。ベスト体重を探してキープすることが難しいですね。

他の選手の場合、もっと細かいことまで気にされる方はいらっしゃるので、私は周りからは「適当すぎる」と言われることもあります。自転車のセッティングやレースの運び方など悩む人はサドルの位置を数ミリ単位で気にします。

私の場合、師匠(競輪では師弟関係があります)が決めたセッティングを変えませんし、大丈夫だと信じています。自分に合っていると信じるからこそ、あとで迷うことはありません。

児玉碧衣に聞いてみた。

=私から聞くのもいまさらだけど、ここからはさらに掘り下げたお話を教えてください。服装選びで気を付けていることはありますか?

競輪選手は太ももが太いので、最近はロングスカートを履くことが多くなりましたね。あとはワンピースとかワイドパンツですね。スーツなんて絶対着たくないですね(笑)ジーパンとかもってのほかです。いつもはジャージで活動しています。

―児玉さん、ゲン担ぎをされるというお話を聞きました。髪色とかですか?。

髪色を変えることはあんまりないですが、ゲン担ぎでネイルをゴールドにすることはあります。最近の髪色は落ち着いていますが、前はユニコーンカラーといって、青、紫、緑、ピンク、黄色など混ぜてカラフルな色にしていたんですが、ちょっと不評だったんで、落ち着かせました。金髪にしていた時も不評でして・・・

―金髪の写真をネットで拝見しました。

ネットの画像は映り悪いんですよ!本当の私はもっと可愛いはずです(笑)

=賞金の使い道は?

2018年でいただいた賞金は2,700万円です。賞金では車を購入したり、おいしいごはん食べたりしています。

=スポーツから学んだことはありますか?

しっかりとした礼儀を学んだと思います。スポーツマンって、礼儀がしっかりしているし、挨拶や気配りなど、自然とできる人が多いですよね。

高校で指導されたことが今も活きているし、人として成長していなかったら、今の生活は無かったと思います。

―現役の選手に聞くべきことではないかもしれませんが、やがて訪れる引退については何か考えますか?

今は考えてないです。競輪の引退は、自分で引退するか、競争得点が獲得出来ず、実質レースに出る権利がなくなるかの二択しかありません。最年長は女性で47歳、男性は60歳くらいの方がいます。

女性は妊娠制度があって、活動を休止できるんですが、子どもを育てたブランクがあっても復帰することはすごいですよね。私は、手の届かない伝説の選手となって引退したいです。

引退後には起業をしたいとも考えるため、競輪を辞めるまでには沢山貯金して辞めたいです(笑)

(インタビュー後日)・・・優勝後、改めてお話を伺いました!

―児玉さんグランプリ連覇おめでとうございます!スタート前の緊張感。そして、レースの迫力がすごかったです。

ありがとうございます!1年間頑張ってきた成果がでました。

―見事、目標達成しましたね!次なる目標はずばり・・?

今後の目標は、更に目標更新で3連覇を目指します!

―児玉さん、重ね重ねおめでとうございます!今後のさらなるご活躍を期待しております!

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