インタビュイー:灘本 雅一(なだもと まさかず)

桃山学院教育大学女子硬式野球部監督。阪神大学野球連盟元事務局長、関西女子硬式野球連盟事務局長を務める

マドンナジャパン:日本野球機構・全日本女子野球連盟によって編成される、女子野球のナショナルチーム

―灘本さん、本日はよろしくお願いいたします。これまでも男子野球にはU-12.16.18.22.社会人など複数のカテゴリーで代表がありますが、今回アンダー18の日本代表を作ることは女子野球界にどういった意味がありますか?

次の世代を育てるために編成されたチームです。

高校生で硬式野球をする女子が増えてアンダー18ができて、大学チームも10チーム増えたので、アメリカ代表チームと試合をする予定で編成されました。

実際は、アメリカチームがワールドカップの予選で日程が合わなかったので、オーストラリアと戦うことになりましたが。

世界を視野に戦えるという体験ができたという大きな意味を持っています。各選手からも「世界の野球を肌で感じることができた」という感想がありました。

―実際、女子野球を目にして、男性と女性の野球にどのような違いがありましたか?

男子と(女子を)比べると、スピードとパワーが大きく違います。

ですので、女子の場合はスピードやパワーに秀でているとそれだけでも有利ですが、加えて柔らかさも重要なポイントになります。守備にしても柔らかいグラブ捌きがプレーに影響します。

また、男子との大きな違いとしては空振りの三振が少ないことも挙げられます。女子は当てるのが上手いから、球をうまくバットに当てて転がしますね。

―女子野球の人口は増えているので、環境が整えば競技人口はさらに伸びると思います。

中学生レベルだと、まだ女子が男子に混ざっているのが現状。女子チームは関西女子として選手を集めて、関東のチームと対戦しています。高校生になると女子硬式野球部だけで全国に30チームくらいあります。

―今までは高校生以降、野球を続ける環境が少なかったと思います。

伝聞ですが、野球ができなかったから他の競技に移る子が多くいたみたいです。環境があればもっと早くに女子野球も発展していたかもしれませんね。

―今、女子野球人口が増えた要因は何だと思いますか?

野球が出来る環境が増えているからだと思います。もちろん、女子プロの存在も大きいと思いますが、今は大学でも硬式野球をやる人が増えました。クラブチームも出来てきて、アマチュアも長くできる環境が増えました。

社会人チームが増えたことで、今まで高校生と大学生が一緒でしたが、これからは18歳以上、高校生のみ、高校生に中学生を含む18歳以下の1.2軍チームとカテゴリーが今年大きく変わりました。

―男子の場合、プロ野球選手や甲子園、神宮球場など試合を行う機会が多々ありますが、女子野球の場合は大会などありますか?

今、大会がすごく増えて大学生では選手権が春秋で二つ。日本選手権やジャパンカップというプロを含めた大会に大学が2チーム出場することができます。

関西では各大会やリーグ戦があって、また、北海道や沖縄など全国で大会があります。移動距離がありますが、女子同士で試合をよくやっています。

―今後の女子野球にさらに必要なことはなんでしょうか?

野球ができる環境をつくることだと思います。それが、日本の女子野球強化にもつながると思っています。

野球だけが唯一球技の中でボールを持っている側が守っているスポーツ。ほかの球技はボールを保持している時に攻めています。ピッチャーが相手に攻撃権を与えるという特性。

その競技性の中で、男子はピッチャーが主体になりますが、女子は比較的打者が主体的になります。空振りの三振が本当に少ない、攻撃的な野球です。

世界で勝てるのは日本の緻密さに加え、投手力を含め日本の守備力が抜群に安定しているし、その中で攻撃も出来るからだと思います。

―少し話題を変えます。一般論として、大学まで野球を続けることは良いことだと考えられますか?

非常に良いことだと思います。社会的にも、健康にも。非常に良い勉強をしていると思います。特に野球はチームスポーツだからこそ、団結力が上がるし、基礎的な体力もつくし、忍耐力もつきます。今はゲームなど室内競技が増える中、汗をかくことが大事だと思っています。

今の女子は卒業してもスポーツに携わりたいという気持ちを持って社会に出ていく子が多いから、個人的にはその子たちの支援ができたらいいなと思いますね。

―野球を通した人間教育を行う場合、灘本さんが考えていることはありますか?

オフシーズンは子どもたち、特に女子に向けた野球教室とかやりたいですね。なかなか単独チームで試合をする機会が少ないので大学まで野球をしている女子が小中学生に教える機会を作れば、より多くのチームができるじゃないかなと。

―少年野球チームの中で、女子単独の小学生チームは無いですよね。

関東ではあるけど、まだ関西にはありません。硬式ではなく軟式ではあります。

―硬式野球をやればハマる女子も多いと思います。

女子の場合はバットに当たるのでやっていて楽しいと思います。男子のようにピッチャーとキャッチャーだけがボールを触っているということが少ないですから。

―先ほど拝見した練習もそうでした。

三振がなかったでしょ?彼女たちは打てば前に飛びますから。球がバットに当たるから楽しい。守りの時間も楽しい。体験すればハマると思いますよ。

―女子向けのルールを作ったら面白いじゃないかと思いました。例えば、塁間を短くするとか。

そうですね。スピード感が出ると思います。ホームランゾーンもあと10mくらい短じかければ面白くなるかもしれないですね。なかなか環境を変えるのは難しいですが・・・

―私たちの時代だったらバスケなど、男女一緒に練習できるスポーツがいくつもありましたが、野球はできないみたいなイメージがありました。

僕の意見ですが、ミックス競技としてオリンピック競技にしてくれないかなと思っています。男女混合で12名ずつを1チームとして、各イニングで男子対男子、女子対女子を行っていき勝敗を決める。通常のイニングよりも短いので試合の展開も早くなります。

―おもしろそうですね!newスポーツがある中で昔からある野球が新しいトレンドになるかもしれませんね。少年野球で女子が受け入れられたことが大きく影響していますか?

そうですね。6年前と比べてレベルが違う。どこのチームでもレベルが高くなっています。以前は、セカンドまでランナーが進んでも、ホームへ戻ってくることは少なかったですが、徐々にセカンドからワンヒットでホームに戻ってくるようになりました。野球が変わってきている。女子野球も楽しいですよ。

―灘本さんが考える女子野球の将来イメージや希望はありますか?

甲子園へ出場できるようになればいいと思います。 または女子監督として甲子園に出場している姿をみたいですね。一歩進む時代が来るのではないかと思います。部長として甲子園のベンチに入る事は以前ありましたが、監督として甲子園のベンチに行った人はいないですから。

男子の指導をする女子部員が増えれば、女子の甲子園が出来るかもしれませんし。

―女性監督、また、女性チームで甲子園にいけるとなれば「憧れの甲子園」の意味合いが変わりそうですね。

男女ともに、野球選手皆が憧れる聖地になると思います。女子が携わってくれたらすごく良いことだと思います。

―男子チームの女子監督として甲子園へ出場したら快挙ですね。

いずれ出ることはあると思います。今の子たちは男子と一緒に野球をやっている世代なのですよ。でも中学生くらいからスピードパワーで負ける、悔しい思いをして高校では女子だけでできるようになる。それが新しい野球の文化になる。

男子に指導するときは力ではない「野球の面白さ」を伝えたらいいじゃないかなと思います。

―女子野球らしさが全面に出していけば、新しい文化が生まれそうですね。本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!

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