今回は当社CFO永井のご友人である金子さんをお招きした講演を記事化いたしました。
AIに関する考え方や仕事にどのような影響があるのか。そして、AIにより変わりゆくスポーツと、変わらないスポーツ人財の価値をお話しております。
※三部作でお送りいたします。

Guest:金子陽介

早稲田大学理工学部を首席で卒業。大手航空会社のエンジニア、外資系戦略コンサルを経て、博報堂系ベンチャーの株式会社QUANTUM、SPORTS AIでエンジニアとして勤務。サッカーを中心に、スポーツチームの強化をサポートするシステムやAIを自ら作成しながら、それを活用した事業開発に取り組む。

Interviewer:永井淳平

慶応義塾大学法学部卒業後、都市銀行にてアジア圏で8兆円相当の自行資産ポートフォリオの企画・分析や非日系企業の審査などを担当。その後、外資系戦略コンサルへ参画し(金子氏と同日同期入社)、消費財・小売業界における複数プロジェクトに従事。起業を経て、スポーツフィールドへ入社し、現在はCFOを務める。

~AIによって変わる仕事~

―本題っぽいところに入っていくんですけど AI によって未来の仕事はどう変わるかとうテーマに入ります

―(来場学生の方に)今どういったお仕事に興味がありますか?

来場学生:公務員で消防士に興味があります。人を直接関わって助けたいです。

―ありがとうございます。金子さん、消防士という職業はAIによってなくなりますか?

なくならないと思います。そもそも現代社会において火事の事象は件数として少なく、未然に防ぐことはまた別のことと考えますが、消防士としては火事が発生した時にいかに被害を少なくするかがメインの目的になると思うんですけど、仮にAIでやろうとすると、「こういう火事のときはこういうことをしろ」というAIを作りますが、過去事例のデータが必要になります。

ただ、火事ってそんなに発生しないですし、「ボヤで済みました」ということの方が良くて、火事を増やせということはないので、データが圧倒的に少ない。その少ないデータから次の予測が考えられるのが消防士のすごさだと思うので。

―優秀なAIができるより、火事場で鍛え上げた消防士のおじさんの知恵の方が、おそらく優秀ということですよね。

ロボティクスを使って、「より安全に」とか、「今まで人間がいけないところまでいく」などはできると思いますけど、それは人間が操縦するロボであって、機械学習するような消防ロボはできないのでは、ということです。なので、21世紀型の職業として、ロボをいかに操れるかといった能力が求められそうですけど、それはAIとは別で、ロボティクスは時代の流れによって変わりそうですね。

来場学生:コンサル業とか、人に提案する仕事はどのようにAIが関連しますか?

AIかわからないですけど、SPEEDAというサービスはご存知ですか?

―企業向けの情報サービスですね。コンサル会社とか、僕みたいな経営企画をする人間が、世の中のあらゆる企業のデータを分かりやすく閲覧できるデータベースのような使い方をしています。レポートを見たり、中の人が調査も請け負ってくれたりする、そのSPEEDAですかね。宣伝みたくなっちゃいましたけど(笑)

そうそう。何でその話をしたかというと、今までコンサル会社や金融機関の仕事の中に、「今までの業界ってどういう風になってきたっけ?」とか、「その成長している会社って何で成長したんだっけ?」みたいなことを過去のデータから探して洗い出して、リサーチ&レポートするアナリストの仕事があるんですが、SPEEDAというサービスがあれば、日本から海外まで一人のアナリストが調べたことをみんながお金を払って参照すれば良くなりました。

AIとはちょっと違いますけど、単純なリサーチとかレポートの業務において、コンサルはSPEEDAに仕事を奪われたというか、代替されたと言えます。調べるという単純作業は誰かがやればいいので、価値が出にくくなっている状況です。

―これって色々な業界の中で同様のことが起こっていて、AIに限らずテクノロジーが既存のレガシーな業界を変えて、価値がでにくい仕事はなくなるって文脈でそこかしこで叫ばれているよね。

そんな中で、より意味がある仕事は、データやレポートに基づいて「で、今後どうなるんだっけ?」という示唆を出せたり、相談された会社に対して「あなたたちがうまくいく方法はこうです」と言えたり、といったより高度なアウトプットが求められています。

―よく言われているとおり、一定のルールが明確にあって、それに基づいて判定をする業務、例えば会計とか、スポーツのレフェリングなどの仕事は、AI が代替できてしまう可能性が高い。一定のルールに基づいて判定をしていくなど、単純な業務をしていく仕事は今後、無くなっていくとニュースでも言われていますね。

過去の事例を調べるとか、情報を集めてくるみたいな工程は、おそらく今後AIが発達してくればできてしまうけども、集めた情報をどうするかという課題解決を考える過程はAIだとまだできないと思います。

提案するという部分で言うと、成果がすごく曖昧というか、提案を受けた人によって満足度が違ってくるので、評価が分かれてしまう。聞いた人が「どう思うか、満足しているか」ということで評価が左右されてしまうことがAIで代替できない部分ですね。結局、同じことを機械に言われても、人間に言われても、機械に言われると「なんだよ!」と思う人と人間に言われれば「まぁ、そうか」ということも結構あると思うので。逆もあるかもしれませんが。

―それは理論ではなくて、感情の話ですよね。僕は感情に勝る理論は無いと思っています。AIがどれだけ数学的に確からしいことを言ってきても、(権威ある)偉そうな人が高説を垂れてくれるのでは、受け手の感情は後者を選ぶ気がする。

来場学生:自分は自動車業界に興味がありますが、自動車のサプライヤーはなくなりますか?

Young couple riding autonomous car.

例えば自動車業界を取り巻く、「自動運転で楽に安全に」という大きな流れがある中で、自動運転を実現するために様々なテクノロジーとか必要になる。これまで金属部品を作っていた人ではなく、例えばソフトウェアを作っていた人が自動車業界に参入しているじゃないですか?今までサプライヤーではなかった人が新しいサプライヤーになっていくので、業界内の力関係は変わると思いますが、仕事がなくなるということはないと言えます。

―先程、今後の10年間は、完全な自動運転の車はできないだろうと言っていましたね。では、今後自動車の需要と供給ってどう変わると思いますか?増えるケースと減るケースは?

増えるケースとしては、今よりもっと気軽に自動車に乗れるようになるので、免許がなくても乗れるようになるかもしれないですし、車を持つことに対して運転が面倒くさいということもなくなるので、自転車を持つくらいの意識になるかもしれないですね。置いておく場所も、安くて広い駐車場に置いておいて、必要な時に呼んだら来るようになると思うので保有コストも下がると思います。

―(テンション上がって)仮面ライダーBLACK RXのライドロンみたいだ!!(会場シーン・・・)

永井は仮面ライダーが大好きです。

―とてつもない滑り方に世代ギャップを感じました・・・。それじゃあ、逆に減るケースとは?

シェアみたいに、使いたい時だけ使って、使わない時は誰かに使わせておいてみたいな感じで、自分で持っておく必要がないみたいなシェアリングエコノミ―が加速していくことだと思います。レンタカー会社が自動車シェアリング会社みたいに変わっていって、必要な時に必要な台数を持ってきてくれるみたいな形になれば、持っている必要はないですよね。

―最近は論調としては後者が強いですよね。DeNAなどもカーシェアへ参入しています。

ただ、自動運転が難しいことの一つの理由として、AIでは人間の突発的な判断に対応できないことですね。例えば、急に歩道から人が出てくることは基本的にないという前提でプログラムを組みますし、居眠り運転でいきなりハンドルを横に切る人がいることなんて想定しない前提なので。課題は多いです。

~体育会・スポーツマンへの期待~

―ここまで長くなりましたが、本題と言いますか、AI社会で活躍できる人財はどういう人財なのに踏み込んでいきましょう。今日来ている方々はほとんどが体育会学生なので、AI社会においても体育会学生は●●な点で活躍を期待される、といった文脈が良いかな。ポジショントークですが(笑)AI社会を2045年に定義して、ドラえもんがでてきたと仮定した時に、そういう社会で活躍できる人財はどういう人財なのかというと・・・。当然、機械的に判定する人財よりは、複雑な状況判断を読み解いて、変化に対して柔軟に動くことができる自律型の人が評価されるかな?まぁ、いつの時代もそうだと思いますが。

現状でも変わらないと思いますが、出来る人が少ない仕事の方が当然給料は高いですし、最初にやり方を考えて、それを誰でもできるようなやり方や仕組みに変えて行くような仕事の方が給料は高いですよね。給料が高い=より求められているということですから。

色々な人がいるのでこの数字が正しいとかはありませんが、わかりやすい例として飛行機のパイロットは給料が高くて副操縦士で1,000万円、キャプテンで2,000万円くらい。一般的な職業よりは高くて、みんなが出来ることじゃないという背景があります。ただ、実際やっていることとしては機械でできることが多くて自動操縦でできることがほとんどです。

実は離陸から着陸まで全部自動でできますが、やらない理由は単純に、人間が操縦を忘れないために「何回以上は手動で着陸しなさい」みたいなことを法的に定めているだけで、空を巡行しているときは自動で動いているので、そんなに給料もらう必要あるっけ?みたいなことはあります。実際、アメリカは格安の航空会社はアルバイトをしないと生活できないパイロットもいますし、 世界的に日本では高給ですが、アメリカでは低い。どんな職業でも、グローバルの視点で給料水準を決めていくのがトレンドとしてあるので、今後日本においても下がっていくでしょう。

―我々も、体育会の学生を企業様に引き合わせる中で、体育会学生の価値はどういったところにあるのかと、企業に聞かれます。いくつもありますが、よく言われているのが部活動は社会の縮図であり、上司みたいな人がいて、先輩と後輩がいて、同僚がいて。半端じゃない努力をしても必ずしも成果が出ないとか、最後の大会に向けて全力で取り組んできたのに怪我をした等の理不尽に思えることとか、それを受け入れてチームメンバーのサポートをするなど、社会の縮図みたいなことを部活動の4年間、あるいはもっと遡って10年間以上経験している。そういった方であれば、社会に溶け込むことがよりスムーズなのでは、といえます。

 ―これだけじゃなくて、スポーツをやっている人はPDCA(Plan Do Check Action)を回すことができている。目標とする競技レベルや大会の成績に対して、正しく現状把握をし、目標と現状の差分をどのような手段で埋めていくかと常に考えている。その手段は、練習方法であり、指導者であり、食事内容であり、チームであり、様々。結果が出なかったら、また新しい手段を探すというのがPDCA。

―これって社会人になった時にめちゃめちゃ重要で、「半期の目標はこれで、成果をだしてくれ」と上司に言われたときに、一か月経って上手くいってない、二ヶ月でも上手くいってない、じゃあやり方を変えて先輩に聞こうとか上司に相談しようとか、達成するために少しずつキャッチアップしてく。それって学生の時にスポーツをやっていた人は、ごく自然にできるので価値がありますよね。ということを僕らは企業さんへ伝えています。スポーツのレベルが高い人で才能に任せていない人は、総じて頭が良い。これってAI社会でもなんら変わらないですよね?

そうですね。PDCAを自分で考えて、実際に試してみて、また、その結果をみてもっと良くしてということはまさに現在のAIではできないことなんですよね。AIとしては大量のデータの中で、「こういうときはこうしろ」、「このときはだめだ」みたいな大量のデータとしてあったら、学習して上手くいく確率が高い判断をする。一方で、今までのデータにない判断は難しい。

―じゃあ、スポーツをやってきた人たちの価値がそういう部分にあるとすれば、少なくてもドラえもんみたいなAIが出てくるまでの間はずっとスポーツ人財の価値って認められ続けるんじゃないかね。というかドラえもんが出来たら大体すべての仕事はいらないと思いますけどね(笑)そんなすぐにはやってこないですけど、皆さんの子どもくらいの世代になっているとどうなっているかわからないですよね。

―繰り返しの話ですけど、挨拶されて、目があってうなずいてくれれば嬉しいし、感情的な部分って論理じゃないですよね。人と人が仕事をしているときはどれだけAIが確からしいことを伝えても、人間同士の感情が大事だから、そういう意味で礼儀がしっかりしているとか上下関係ができるとか大きなアドバンテージだと思うんですよね。

第三章~今後のAI×スポーツについて~へ続きます

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