今回は当社CFO永井のご友人である金子さんをお招きした講演を記事化いたしました。
AIに関する考え方や仕事にどのような影響があるのか。そして、AIにより変わりゆくスポーツと、変わらないスポーツ人財の価値をお話しております。
三部作でお送りいたします。

Guest:金子陽介

早稲田大学理工学部を首席で卒業。大手航空会社のエンジニア、外資系戦略コンサルを経て、博報堂系ベンチャーの株式会社QUANTUM、SPORTS AIでエンジニアとして勤務。サッカーを中心に、スポーツチームの強化をサポートするシステムやAIを自ら作成しながら、それを活用した事業開発に取り組む。

Interviewer:永井淳平

慶応義塾大学法学部卒業後、金融機関にてアジア圏で8兆円相当の自行資産ポートフォリオの企画・分析や非日系企業の審査などを担当。その後、外資系戦略コンサルへ参画し(金子氏と同日同期入社)、消費財・小売業界における複数プロジェクトに従事。起業を経て、スポーツフィールドへ入社し、現在はCFOを務める。

~AIとは~

―皆さん、今日はお時間をいただきましてありがとうございます。スポーツフィールドの永井です。事業や業務の中でAIの研究・開発をしている友人を呼びまして、「AI ×仕事を選び」とか「AI ×将来なくなる業界」などの「AI×仕事」というテーマで話をさせていただきたいと思います。

―早速本題に入るけど、陽介、ここ数年で騒がれているAIってなんなの?定義は?

そもそもAIってなにかと言うと、良くわからない(笑)。エンジニア仲間には、「そもそもAIなんて存在しなくて、僕らエンジニアがやっていることは、シンプルにデータサイエンスとか統計学とかの理論的なバックグランドがあるものをやっているだけで、夢物語のようなAIは存在しない」みたいなことを主張する人もいます。要は、AIとはとても曖昧で、新聞で出てくるAIとかは、記事によって指しているもののレベル感が全く違ったりする。

なので、最近は「AIで仕事が奪われる」と言われていますが、具体的に問われると「わかりません」という感じなんです。

僕がAIは曖昧だと思う例えとして、車の自動運転ってよくAIと言われていると思いますが、一方で、飛行機の自動操縦だってAIじゃないの?と思いますよね。でも、飛行機の自動操縦は何十年も前からずっとやられていますけど、誰もAIなんて言わないですよね。

あとは、はやぶさ2(小惑星探査機)が星に自分で着陸して飛び立ったみたいですけど、よく考えると誰も行ったことも、見たことないようなところに勝手に着陸して鉱物採集をやれるだけですごいと思いますが、これもAIとは言っていなくて。

結局AIは「何だ?」と言うと「よくわかんないもの」という気がしています。

じゃあ逆に言うと何ができるか。

いわゆるAIをあえて定義すると、機械学習だと言われていますけど、10年位前に画像をプログラムに読み込ませたときに、画像に写っているものが何かを判断できるようになったことが大きなブレイクスルーとしてありました。

でも結局はそれ以上でもそれ以下でもなくて、例えば、画像があって、猫が写っていれば人間はすぐに猫とわかりますが、それをプログラミングで直接的に表現する場合、この位置にいて、ここに耳がついていて〇色だったら猫と決めても、結局その色が変わると猫だとわからなくなるみたいな感じだった。

それが今では、よく言われる「ニューラルネットワーク」のような計算の仕方を行うと、人間もよくわからないんですが、プログラムが「猫かどうかを判断できる」というのが大きなブレイクスルーですが、結局、もともとの「猫か猫じゃないか」の判断ができるレベルからめちゃくちゃ進歩しているわけではなく、自立した知能をもっているとか、勝手に自分で自分をつくって人間を殺しちゃうような映画のようなAIまでには、まだなっていないのが現状です。

―ドラえもんって自分で考えて、勉強して、新しいことを知って、新しい行動をとって、なんとかのび太を真人間に近づけようとしているけど、あのレベルのものはまだ出てこない。つまりドラえもんはまだ出来ないってこと?

全く無理ですね。人間の知能を超えるというか、機械が勝手に自分で学習して勝手にどんどん賢くなっていくみたいことを『シンギュラリティ』と言ったりしますが、それがいつ来るかみたいなことはすごく先の話で、答えは誰も分かってなくて、人によっては2045年ぐらいに勝手に自立的に学習をして賢くなっていくようなAIみたいなものが作られるんじゃないかと言っている人はいますが、2045年になるのかは誰にもわからないです

―まぁ、原作中でもドラえもんの誕生は2112年だもんね(笑)ターミネーターでは、人工知能が暴走して人間を滅ぼしに来るけれども、AI・人工知能が人間の知能を超えて成長し続ける技術的特異点、いわゆる『シンギュラリティ』が2045年に来るとすると、あと25,26年後くらい。つまり今日いる学生の皆さんは47,8歳くらいですよね?ひょっとしたらご家庭があって、家を買って、お子さんも独立されているかもしれない。そういう状態をイメージしてもらえたらと思います。

~バイアス(偏見)とAIの関係~

次にお話ししたいのが、『バイアス』とよく言うんですけども、一般的には『偏見』みたいな意味です。

なにかというと、2018年10月にAmazonが採用効率化のためのAIを作りました。選考希望者を自動的に絞るものだったんですが、結果的にそのAIは女性を意図的に落とす、平たく言うと女性を差別していると結果が出ていたのでAmazonがそのAIを使うことをやめましたということがありましたが、知っている人はいらっしゃいますか?

―そもそも、そのニュース知らなかった・・・。

皆さんご存知なさそうだね(笑)アマゾンが作ったAIが良いとか悪いとかはここで議論しませんが、悪いという方の論法としては、「AIはニュートラル・中立的な判断をするべきで、AIが女性を落としがちな判断をするなんてけしからん」という論調でした。

一方で人間の判断を振り返ってみると、基本的に男性の方が多い職業とか、女性の方が多い職業とかたくさんありますよね。この間、医学部が三浪以上の人に減点したとか、加点をしないとかのニュースもありましたが、これらも一つの偏見というかバイアスですよね。

学校側としては、若くて体力のある人やキャッチアップが早い人を採用したいと考えているので、事情を聞けば分からなくはない。ただ、それはフェアじゃないとする向きもある。

―新卒時代、航空会社で働いていたと思うけど、CAの職員はほとんど女性ですよね。

そう。募集要項に「CAは女性しか採用しません」とは言っていないんですけども、過去の実績を確認してみると男性は一人も採用していない。言い方によっては男性を差別しているんじゃないかと。客観的に見れば男性の中でCA適性のある人がいないことはおかしいですし、今まで一人も採用していないとなると差別があると言われかねない。

―ドラえもんだったら「CAは男性と女性で能力差があるのか」って考えた時に、おそらくないだろうと判断して女性も男性も等しく採用するべきという判断を自分で考えてできるかもしれないですけど、今の AIっぽいものと言うと、過去のデータを入れて判断を行った時に、過去ANAのCA職って女性を多く採用しているから、「この先も女性を優先して取るべきだ」という風な確率的判断をするようなAIばかりしか作れていないということ?

今までバイアスがバイアスとしてはっきり見てとれると、「それはバイアスだから良くない」と言い出したんですけど、もう一方で全くバイアスがない判断はありえなくて、結局人間だって今まで自分が見た・感じた・経験したことを基にしてしか判断できないので、その人が何を経験しているのかによって判断が変わってきてしまうのがある意味当然。

今のAIは、人間が元々作った「こういうときはこう」みたいな状況別のデータを基に学習をして、似たような判断をするようにしているので、人間が下したバイアスのかかった判断を真似してしまうので、結果的にAIの判断にもバイアスがかかっている、みたいなことが実態なんじゃないかなと。

AI (Artificial Intelligence) concept.

―今のところ、AIというものの実力はこの程度ということを認識してほしいですね。人間が元々作った状況別のデータを超えられていないレベルだと。今のレベル感から、25年後はまだ無理だと僕は思いますが、25年後には出てくるという人もいます。

―みなさんは25年後、AIの普及によってこの職業や産業はなくなるとか、最近のニュースでやたら脅かしてくることが多いと思うんですけど、今のレベル感からすると25年ではそうそう仕事はなくならないというのが僕の意見ですね。

―ところで、僕たちはスポーツの価値を証明する、様々なフィールドで発揮するという文脈で事業を行っています。スポーツによって得た経験が仕事で発揮される場面や、AIではまだ代替できていない部分としてどういうものがあるかというところを深く掘っていきたいと思います。

僕は以前、画像からそこに写っているものは何かを判断させるプロジェクトをやったことがあります。

人がテーブルを囲んで会議してる画像を機械学習したAIで読ませたときに、AIが椅子に座っている人間を見てトイレと判断したんですね。どう考えても会議室にトイレがあるわけではないので、ただの椅子で間違いないんですけど、椅子に座っている人間と隠れた座面をみてトイレと判断したんです。結局言いたいことは、AIとは学習したものを、局所でしか判断できなかったんです。スポーツって、場面ごとに瞬時の状況判断が求められますよね?

―スポーツの状況判断の複雑さはそのレベル感だと困難そうですね。この場面で一塁投げたほうがいいとか、いや二塁の方が良いとか。

一応、どんなに複雑であろうがなんだろうが、定めた条件が絶対にぶれないという感じであればAIで判断できるけど、「今、ここで投げて失敗した時、リスクがある。いつもだったらそこに投げるけど、今回はリスクを冒さないでとりあえず二塁に投げておこう」とかそういう判断ができないのです。

盗塁しようとした時に投げるか投げないかと思うけど、仮に自分が今失敗して悪送球した時に、その選手の足が速くて三塁まで行ってしまうという細かいところの判断までするためには、選手ごとの走力など学習させておいて、「この時にこうすればこうなった」ということをシミュレーションしておく必要がありますが、細かいシミュレーションができない。

―ましてや、「今、走者が自信に満ちた顔しているから、あいつを走らせたら成功させそうだからやめておこう」、みたいな空気を読み取る判断はできないですよね。

ただAIだと細かい判断はできないという話なんですけど、一方で、人間がしている判断が必ずしも正しいかというのはわからなくて、昔、7回の裏の攻撃だとファンが盛り上げるし、ラッキーセブンだといって点が入りやすいという迷信がありましたよね。結果データを見ると均等に点が入っているだけでしたが。

結局、思い込みで人間が判断する事ってたくさんあって、本当は調子が悪いんだけど調子良さそうな顔しているなと思っちゃうとか。人間は考えすぎてしまって正しい判断できていないんじゃないかな。

―人間は考えすぎちゃうからそれが裏目に出ることもあると。

今僕はJリーグの試合の勝敗を予測するシステムを作っていますが、勝敗を予測する上で、人間の一般的な感覚的にはチーム同士の相性とかってあるような気がしますよね?ただ、実際にはそもそも相性があるか、僕らはまだわかっていない。相性があるという前提で、相性も含めて予測しましょうみたいなことをやると、確かに微妙に予測の精度がよくなったりする事があるので、「じゃあ相性ってなんだ?」と言われると結構難しかったりして、結局、人間の考えをロジックとして一度外に出してみることで人間の判断は正しいとか考えすぎているとかがわかりますね。

―そのシステム toto BIG の勝敗を占うのにちょっと貸してもらうかな(笑)機械学習で勝敗を予測するってこと?精度は?

そのとおりで、totoって13戦サッカーの試合を当てるんですけど、そのうち13試合中11試合以上の結果を当てたらお金が戻ってきますよというゲームですけど、僕らは『WARP』というサービスで予測をやっていますが、全部を当てるのはほぼ無理じゃないかなと僕は思います。

ミニトトという13試合じゃなくて5試合を予測しようというものがあって、5試合だと結構当たったりしてるんですけど、13試合は難しすぎます。

結局、予測の組み合わせの数って「勝ち、負け、引き分け」の3パターンが13試合なので3の13乗通りあるので、確率が低すぎるということですね。

―買うなということですね(笑)

第二章~AIによって変わる仕事~へ続きます

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