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小野 昌彦

東北福祉大学軟式野球部コーチ・監督代行。高校、大学では硬式野球部で活躍。その後、東北福祉大学軟式野球部でコーチを続け、2015年より全日本大学軟式野球連盟日本代表監督に就任。

 

―小野さんと対談ですが、ここから後半になります。改めてよろしくお願いいたします。
※前半はこちらですhttps://www.spodge.sports-f.co.jp/1978/
 
~強いチームとは~
 
―学生とのやりとりの中で、小野さんご自身が学生からいろいろ学んだということですか?なかなか監督・コーチが「学生から学ぶ」ということを聞くことは少ないですよね。
素直に学んだと思います。僕は勉強するのに年齢なんて関係ないと思っています。だから、年下の人間とも仲いいですし、年上の方にも可愛がっていただけていると思います。時と場合にもよりますが、僕は年上の人にも率直な意見を言いますよ。
一方で年下については、僕の父親に言われ続けたのが「後輩を面倒見るのであれば中途半端に面倒を見るな。何か悪いことをしてもちゃんと最後まで面倒みろ、それが兄貴分だ。」と言われていましたね。
 
今の学生は息子ぐらいの世代になっていますけど、それこそ僕がここにきた23年前なんかは、学生と3歳くらいしか年が離れていないので、学生と衝突もありましたよ。つい先日もここに来たばかりの時に当時3年生だった教え子と会いましたが「あの時は取っ組み合いになったよな~」と笑い話をしました。ちなみに、着任2年目には準優勝していますよ。
 
―強いチームはチーム間の摩擦を恐れていなくて、変な人間関係はないですよね。
まぁ人間なので合う、合わないがあるじゃないですか。ただ、同じユニフォーム着て、同じグランドに立った時に、同じ目標に向かって一緒に進めるかどうかが強さだと思うんです。それはレギュラーか補欠かなんて関係なく、同じ方向に進む中で、意見をぶつけ合えるチームが強いと思っています。
 
―全員が同じ目的を持つことが重要ということですよね。
今年のチームの目標は「連覇」なんです。昨日初めてオープン戦を行いましたが、スコアブックが LINEで送られてきて、結果を見ましたが「連覇するためにどうしたいか意図が見えない。チームでミーティングをしなさい」とアドバイスをしました。
 
―ミーティングが大事ということですか?
そうです。「とにかくミーティングをしてくれ。単なる報告会ではなく、全員で話し合いなさい」と伝えています。キャンプ中は話し合う時間を大切にしてほしいので、部員全員が一緒の部屋で過ごせる研修センターをお借りしています。キャンプや大会中は僕が洗濯をしていますよ。(笑)
あとは、合宿中はチームで決めたことを全員でやり切ってほしい、信念をもって取り組んでほしいと思っているので、グランドまでの往復16kmを走らせます。今時ちょっとありえないかもしれませんが。僕もキャンプ1週間前は練習場から自宅までの8kmを必ず歩いて帰ります。正直、辛いです。(笑)でも、やりきることが大切です。

 

 

合宿後はチームの目標が安定します。ただ、仙台(大学)に帰ってくるとなかなかこういう経験をすることができないので、どういう風にチーム内で同じ目標を持つのかという話をしています。
いつもは2時間の練習しかできない。かつメンバーが26人、メンバー外が15人いるわけですね。メンバー外が「こういう練習するときは手伝えるから言ってくれよ。」と言うのか、「そんな手を抜いてやっているならいつでも代わってやるよ」と言うのか。後者はメンバー外の考え方。前者はメンバーをサポートする考え方。チーム全員が同じ方向を向くためには「お互いが考えなさい」と言っています。なので、僕はなるべく試合毎に選手を入れ替えています。
 
~あたりまえを、超えていく~
―以前、追手門学院大学の女子サッカー部の学生は「目標は日本一」、「目的は高い目標を掲げそこに向かう過程で人間的に成長するためです」と仰っていました。軟式野球全日本の監督としての目的、東北福祉大学の軟式野球部の目的を問われたら、どのように答えますか?
社会人で活躍する人間を『野球』というアイテムを使って作りたいと考えています。みんなと同じスタートラインではなくて、一歩でも二歩でも進んで出られるようにしたい。社会人になってすぐに戦力になれるような準備期間が大学4年間だと思うんです。じゃあ軟式野球でできることはというと、主体性をもって自分たちでやっていく人間を作りだと思います。
 
ここ数年大学を見ていて変わってきたなと思うのは、硬式野球もゴルフ部も自主練習が増えたと思います。自主練習を授業後にやっている人間が多い。特にゴルフ部なんかは真っ暗になるまでトレーニングをしていますよ。そういった学生は次の日もちゃんと学校にきていますから。
 
特にこの子達すごいと思うのは、女子ソフトボール部。まだ1回ぐらいしか結果は出てないですけど、彼女達は授業の合間で練習しています。そのあとの授業は、女の子だから普通はシャワーを浴びたり、オシャレしたいじゃないですか。 そんなの関係なく授業しっかり出ていますよね。素敵な体育会の学生生活を体現していますよ。
 
僕は、勝つには『人間力』だと思います。技術じゃないと思うんです。心技体と言いますが、「技」は最後だと思っています。まず、心があって、体作りして、技術だと思うんですね。学校HPに「あたりまえを、超えていく」とありますが、当たり前のことを当たり前にやる。こういったことが野球の練習にも繋がると思います。

 

ー大学スポーツにとって、日本一を取っている大学が主体性の大切さなどを発信してくれることに僕たちはすごい意味や意義があると感じています。
軟式野球は指導者の考え方など伝えやすいです。硬式野球などのメジャーなスポーツは、どうしても勝利の内容がクローズアップされがちで、そもそも学校がどういう取り組みをしているか等はあまり書かないですよね。
今回、このインタビューのお話をいただいて、結果監督の指導や学生の取り組みについてスポットを当てて書いてくれる方がいるんだと感じましたよ。こういった縁を大切にしなければいけないと。僕はそういう方々から勉強させてもらって、学生たちに還元していかなければいけないと思っています。
 
―話し手のテクニックも必要ですよね。
高校生も大学生も一緒ですよね。僕も1月に高校生へ話す機会があった時に思いました。最初は眠そうにしていたんですが、ちょっと視点を変えて話を振ってみたり、笑いを狙ったりしたら、目がキラキラしていましたね。
 
―グループワークを授業とかで行いますが、全員とまんべんなく会話をすることが大事ですよね。
ミーティングとかでも、学生全員が意見を言えるようなものをミーティング前にグループワークなど行って、意見を出し合ってやらなければいけないと思います。ミーティングだと誰かが話して、「そうだね」で終わってしまうことが現実的なので。ミーティングの進め方など教わる機会がないですし、逆にわかりやすく伝えてくれる人も少ない。 そこも僕は何とかしていきたいなと思っています。
 
~本気になることの大切さ~
―スポーツが持っている可能性や、社会人としての価値を「スポーツから学んだ」と感じることはありますか?
体育会系が重宝されたのは、言葉遣いや人との接し方、あとは、先輩に対する尊敬の念ですよね。今はこういった人が少なくなりましたよね。だからいつも思うのは、僕ら自身が本気でぶつかっていかない限り、彼らが本気になって考えないし、「何を言っているんだろうこの人」で終わっちゃうと思うんです。今の若い人たちは仕事も遊びも本気になれない人が多いと思うんです。そこが一番怖いなと思います。
 
―本気になる若者を増やしたいですか?
増やしたいです。何事も本気でやってほしいと思います。僕らは熱くなれたと思うんですよね。今熱くなることは格好悪いらしいので・・・。ある程度実力があれば、熱くなることができると思いますが、そこまでいけないと景色を見ることができないので分からない人には分からないと思います。
 
去年から社会人大会に東北地区の選抜メンバーで出るようにして、東京ヴェルディ・バンバータみたいな軟式野球をやっている人間からすると憧れのチームと試合する大会に参加させてもらいました。他の大学の人間もこの景色を見て変わりましたね。
 
ーだから社会人チームの大会に選抜チームで出場するということですか?
「単独で出場してください」と言われましたが、「選抜チームでお願いします」と言って、各大学から均等に選びました。去年は急だったんで決勝トーナメントの6チームから選びましたけど、今年は15の大学から選びたいと考えています。それこそ、勝った時にしか見ることができない景色に近いものが彼らに見えると思うので。
 
―小野さんと対談させていただき、学生や大学がどういった取り組みをしているのかを詳しくお聞きすることで、部活動の在り方を知ることができたと感じています。
 
私たちも野球、そして、スポーツ界をさらに盛り上げていけるよう取り組んで参ります。
小野さん本日はありがとうございました。

 

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