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木村 悠

元WBC世界ライトフライ級王者。商社マンボクサーとして、会社に勤めながら世界チャンピオンになった。2016年に現役引退を表明。引退後は、解説やコラム執筆、講演活動やコメンテーターなど多方面で自身の経験を活かし活動中。

 

今回は、SBT(※)でおなじみの株式会社サンリさんにご紹介いただき、元ボクシング世界チャンピオンの木村さんに対談させていただきました。アスリートNo.1プロジェクトは、サンリさんと当社が協力し運営しております。
※SBT(スーパーブレイントレーニング)とは、日本代表チームやプロスポーツ選手が導入し、数多くのメダリスト輩出実績があるメンタルトレーニングです。
 
サンリさんのメンタルトレーニング方法についてインタビューをしております。
サンリさんの取締役臼井様、中村様にインタビューした過去記事はこちら↓↓
 
 
 
 
 
 
ROUND1 ~商社マンボクサーとして~ 
―木村さん、よろしくお願いいたします。プロボクサーの傍ら、商社マンとしてもご活躍。なぜ、商社に入社をしたのか教えていただけますか?
最初はプロボクサー一本でやっていこうと考えていました。商社に入社した理由は、簡単に言ってしまえば、試合に負けて挫折したことがきっかけです。僕は大学時代に全日本で優勝していたので、期待されてプロの世界に入ったんですが、プロ2年目の試合に負けてしまい、プロの世界の厳しさを感じていました。
 
ボクシングにチャレンジしている中で、「自分を変えることの必要性」を痛感したんです。僕が所属している『帝拳ジム』は世界チャンピオンがゴロゴロいるジムでした。そのジムの先輩を見ていると、ただボクシングが強いだけじゃなくて、人間性もすごく良い方が多い。
 
ボクシングが強いだけじゃこの世界ではやっていけないと痛感しまして、自分を変えるきっかけを探していました。中でも一番影響を受けたのが大学の同期で、一緒に練習していた仲間たちの話を聞いていると、社会にて出て「すごく自分が変わった」とか「成長した」と言っていたので、僕も社会に出ることで、プロとしての「心構え」や「ボクシングをやることの意義」を学べるんじゃないかと思って、仕事をしながらボクシングをやってみようと考えました。
 
―思い切ったチャレンジですよね。入社した会社はボクシングとの二刀流に対して協力的でしたか?
もともと、ボクシングと両立できる仕事を探していたので、入社した会社は「自分の仕事さえしっかりやってくれればアフターファイブは自分の好きにしていいよ」という自由な社風でした。ある意味、放任主義ですけどね(笑)。自分でスケジュールを組んで調整できる環境だったので、そういうところを選べたことは大きいですかね。会社側は、試合の翌日は休日をくれたりといろいろ柔軟に対応してくれました。
 
―試合の翌日に目をパンパンに腫らして出社したら大変ですよね(笑)
僕は殴り合いが好きじゃなくて、いかに効率的に戦うかを考えていました。勝つためにはパンチをもらってはいけない。いくらお客さんが沸こうが、パンチをもらわずに自分のパンチを当てることが重要です。パンチを一発ももらわなかったら負けることはないですから。
 
―木村さんが世界チャンピオンになったのはいつ頃ですか?
プロ入り後、10年くらい商社に勤めて、8年後に世界チャンピオンになりました。世界チャンピオンになってからは、人としての考え方というか、自分がスポーツ選手としてどうあるべきなのかという心構えやプラス思考でいるための行動から考え方まで、変化がありました。
 
―二刀流を行う中で何か得たものはありましたか?
僕がボクシングを始めたきっかけが「自分を変えたい、強くなりたい、成長したい」と思って始めましたが、この考えに一番近かったのが二刀流ですね。仕事で学んだこととボクシングで学んだこととが相互に好影響をもたらす関係にあったので、二刀流が自分自身を成長させてくれ、結果を出すこともできました。自分を変えてくれたことが二刀流の強みだと思います。
 
あとは、いつもの自分とは違う視点の自分を作れるんですよ。例えば、一つのことしかやっていなかったら、それが行き詰ってしまうと精神的に追い詰められますが、もう一つ選択肢があればそうならない。心の安定につながりますよね。
 
―二刀流の生活を過ごす中で大切にしていたことはありますか?
自主性をもって考えなければいけないことですね。一日の中で練習する時間は限られているので、練習時間が短ければ短いなりに、どういう練習したらいいかを考える力が必要になってきます。ただ練習をこなすのではなくて、自分が具体的にその日に何をやるべきかを考えていました。
僕の場合は、スケジュールを逆算して考えています。なので、まず寝る時間を決めました。アスリートにとって睡眠が一番大事なので、最低8時間は寝ようと思いました。脳のゴールデンタイムを狙って22:30就寝です。一日のスケジュールはすべて、そこから逆算して決めていました。
 
―目標、目的から逆算する思考は、トップアスリートが良く実施していることだと見受けます。以前、インタビューさせていただいた女子プロ野球の三浦選手も、年間の打席数と試合数を計算して、打撃タイトルを獲るにはヒットを何本打てばいいかと逆算していました。
 
 
ROUND2 ~世界チャンピオンになるための目標設定~
―世界チャンピオンになるために、具体的にどういった考えを持っていましたか?
プロになった当初は世界チャンピオンになろうと思っていたんですけど、現状に対してギャップがありすぎて、具体的なイメージがつかなかったんです。なので、あまりに大きすぎる目標を設定はしないことにしました。
 
世界チャンピオンになるまでの過程を逆算して行くと、世界チャンピオン→世界ランカー→日本チャンピオン→日本ランカーという順番になりますので、まずは日本チャンピオンにならないと世界チャンピオンになれません。なので、日本チャンピオンを目指すことを目標にしました。
 
そうすると、目標設定した『日本チャンピオン』になるためはどうしたらいいかと考えていると、日本ランカーの上位になることが必要です。では、日本ランカーの上位になるためには、現在の日本ランカーに勝つことが必要。じゃあ日本ランカーに勝つためには・・・・・と、一番大きな目標から一番身近な目標に逆算をして考えていくわけです。
 
例えば、会社経営とか営業目標とかもそうだと思いますが、理想と現実は違うので自分の身の丈にあった範囲で、一番自分が届きそうな目標を設定していく。それをクリアしたらまた次の目標を設定していく。最終的な目標から逆算していく事と、身近な目標を達成した実績を積み上げていくことを同時並行して行って考えることが重要です。
 
―木村さんの中で世界チャンピオンになることは一つの「目標」だと思いますが、世界チャンピオンになる「目的」は何でしたか?
僕の場合、周りの人からサポート・応援をされていたので、そういう人たちに喜んでもらいたいとか、「応援している選手が世界チャンピオンになった」と言ってもらいたいという気持ちが強くありました。もちろん自分のためでもありますけど、ファンや応援してくれる人、身近でサポートしてくれる人のためにも、絶対に世界チャンピオンになろうと決心ができましたね。
 
―応援してくれる人が多ければ多いほど、そういった気持ちは大きくなりますか?
責任感が増してきます。応援団5人と応援団100人の場合、辛い時にどれだけ底力が出るかと言ったら、100人が背中を押してくれる方がすごく自分の力になるんですよね。
―応援の力は選手を奮い立たせますよね。学生スポーツでも応援する人やサポートする人など、応援することが大切ですよね。
 
―二刀流として世界チャンピオンを目指している時は周りの反応はいかがでしたか?
最初はそういう選手がいなかったので、否定的な意見をいただくことが多かったですね。「中途半端だ」とか「実例がない」など、「世界チャンピオンは絶対無理だ」と面と向かって言われたこともありました。応援してくれる人もいましたけど、それ以上に批判的な人が多かったと思います。色物で見られた感じはありましたね。
 
―なるほど。批判的な意見を言う方々へ思うことはありましたか?
単純に見返してやろうとエネルギーに変えていました。ただ、世界チャンピオンになった時に思ったんですけど、もちろん応援してくれる人へ感謝の気持ちは湧きましたけど、批判的な人とかそういうことも含めて自分に影響を与えてくれたので、ありがたいと思えるようになりました。
 
捉え方だと思っていて、「なんで自分が世界チャンピオンになれたか」と考えた時に、いろんな人と関わりもそうですし、そういう批判的な声とかポジティブな声も含めて、自分が勝つことに貢献してくれたと思ったので感謝の思いはありましたね 。
―批判的な意見に感謝をしている人が世界チャンピオンになれたということですね。逆に、観てくれているからこそ批判が出てくるということですね。
ROUND3 ~就活と部活動~
―少し話を変えますね。今、部活動と就活の二刀流を頑張っている学生が多くいます。その中で、「部活がいそがしくて就活できない」と悩む学生がいます。何か伝えたいことはありますか?
ちょっときつい言葉ですが「言い訳するな」ですね。理由は、何かのせいにしたら他責になってしまう。自責の念をもって自分で考えて行動するべきだと思います。
 
社会に出たときに、仕事だけをしている人はいないと思うんですよね。例えば、家族がいて家庭も見なきゃいけないとか、友達付き合いや趣味など二刀流、三刀流をしていると思うんですよ。もう少し大きな視点で考えて、何かのせいにせず、責任をもって自分で判断しなさいと伝えたいですね。
 
 
―部活動と就活。両方とも頑張ろうと思っているけど、「うまくいかない」と思っている学生に対してはどうですか?
サンリさんの指導でもありますが、上手くいかないと思っていたら、うまくいかないですよね。うまくいかないことも試練や課題だと思って、「どうしたら上手くいくか」という思考に変えて糸口を見つけていくことが重要です。例えば、「スポーツをやりながら就活しているということをアピールする材料にするか」とか、「就活で感じた緊張感とか経験をスポーツに活かしていくか」と考えていかないと、別々のものになってしまってもったいないですから。就活とスポーツは一緒なんです。
 
ちなみに、スポナビさんはアスリートの経験を活かしながら自分達のポテンシャルを活かして「どうやって社会で活躍していくか」をテーマにしていますよね。とても重要ですし、価値のあることだと思います。
―ありがとうございます。(笑)仕事や就活などやスポーツは相互関係がありますから、就活と部活動の両方に活かすということはスポーツをやってきた人だからこそできることだと思います。
後半へつづきます
 

 

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