自分の強みは「自分自身」。ビーチバレー界の通称「浜辺のあゆ」が語る、競技と仕事の在り方
GUEST
草野 歩(以下、草:)
高校生の時にバレーボールの全国大会に出場して優勝。大学卒業と同時にビーチバレーボールへ転向。2年目で日本一に輝き、数々の大会で優勝を収める。2016年日本体育大学大学院に進学。デュアルキャリアを実践するアスリートのロールモデルを目指す。
Interviewer
森岡 大海(以下、森:)
スポーツフィールドスタッフ。高校時代には主将として春高バレーに出場し、インターハイに出場し、全国準優勝を果たす。大学までバレーを継続し、卒業後はビーチバレー選手としてプロツアーに参戦。ジャパンツアー5位を経験。商社系IT企業に入社し、営業及びマネジメントを経験した後、スポーツフィールドに入社。
Interviewer
上野 良太(-:)
スポーツフィールド広報担当。大学卒業後、コンサルティング会社を経て、スポーツフィールドへ入社。スポーツフィールドでは、新卒事業部、キャリア事業部を経験し、広報を担当。現在、ラグビーの社会人チームに所属し、休日は競技に汗をかいている。ザキヤマに似ているが、実はシャイ。

―:憧れていた夢が叶うって素敵ですね!ビーチバレーとの出会いはいつからですか?
草:高校2年生で春高に出られたのは良かったんですが、高校3年生最後のインターハイ予選で負けてしまったので、早めに引退がきました。そこで、監督から「ビーチバレー行ってこい。試合出ろ。」と言われて。正直、「えぇ~、水着・・・」っていう抵抗はあったんですが、出場しました。そうしたら、初優勝しちゃいました。
―:同じバレーといってもルールも違えば、プレーの中でやるべきことも変わりますよね?戸惑いや苦労することは?
草:逆にやることが増えて楽しかったです。2人なので、トス、サーブ、スパイク・・・と全部できます。そこからハマっちゃいました。シンプルにバレーボールを楽しめている感覚がありました。今までのプレッシャーがなくて、解き放たれた環境で試合ができたこともありますね。
―:大学はバレーボール(室内)部に入部していますが、ビーチバレーはできましたか?
草:ビーチの試合があれば出場させてほしいって生意気に監督に交渉していました(笑)実際にリーグ戦や夏合宿も抜けて、ビーチバレーの大会に出場しています。今考えると滅茶苦茶やっています(笑)
―:身内ですが、森岡さんはビーチバレーをやろうと思ったきっかけは?
森:ぼくは大学でバレーをやっていた頃、インカレのビーチバレー大会があったのがきっかけです。試合に出たらベスト8に入賞しました。当時は、ベスト8になったチームはグアムに遠征行けるとかありましたからね。
草:あの頃、バレーボールと比べてビーチバレーは華やかでしたよね!
森:当時は、体育会の閉塞感から解放されることがあったからかな。あとは、草野さんみたいにチームの主力として頑張っている人たちが、試合で勝てなくなってきたときに、もっと自分が責任をもって(負って)プレーしたいという気持ちが強くなるんです。となると、責任が全部自分に返ってくるビーチバレーに転向する人は多くいましたよ。
―:体育会の閉塞感・・・ラグビー出身ですが自分もなんとなくわかります。特にバレーボールは、特に練習内容や監督が厳しいイメージでした。バレーからビーチに転向する方が多かったところには、そういった背景もあったのでは?
草:どうですかね・・・ただ私は「人と違うこと」をやってみたかったんです。当時は、ビーチバレーは珍しい競技ですし、強豪校出身者が少なかったので「やったー、誰もやってないことやろう!」って思えました。
―:でも、ビーチバレーって水着じゃないですか?草野さんもさっき「えぇ・・水着」って仰ってましたが?
草:最初はすごい抵抗がありました。今は慣れですね。最近は自分が着ているより、人を見ている方が恥ずかしくなる(笑)
森:高校生とか若い時こそ水着に対する抵抗は大きいですよね。最近はルールも改訂されるなどの配慮もあります。逆に、大人になると今はファッションとして、水着を楽しんでいる方が多いですよ。結局、試合の時は水着の上に大会から支給されるユニフォームを着ていますけどね。


―:前向きな選択ですね。草野さんは『デュアルキャリア(仕事とスポーツの両立)』を研究されていますが、デュアルキャリアを研究テーマにした経緯について教えていただけますか?
草:研究テーマを探しているときに、デュアルキャリアを知りました。そこで、「これ私じゃん。」って思ったんです。自分自身をテーマにしてみたら、「こんなこと当てはまる。」「こんないいことあるんだ。」っていうたくさんの驚きと発見があったので、もっと競技と両立を広げていきたいと思ってテーマにしました。
―以前、ビーチバレーを続けるために資金調達とかスポンサー集めで苦労された経験が勉強するきっかけだと思っていました。
草:東京五輪までは貯金を切り崩す覚悟です(笑)生活する上での最低限は必要ですが。ただ、自分のためにも、選手としての強みを持たなければいけないなと思っていましたから。
時代の流れもありますが、女性の活躍やデュアルキャリアに注目されることが多くなってきたので、パソナさんが仕事や競技のサポートをしてくれたり、取材インタビューを受けたりすることが増えました。今は自分自身をモデルとして、デュアルキャリアを成立させることで、多くの女性を勇気づけることができると考えています。最近は、学術的・科学的根拠を元に説明できるようになりましたし、経験を伝えることができますからね。
森:ビーチバレーってエゴの強い人が多いので。草野さんも変わりましたね(笑)多様性を受け入れることを理解できるようになったのかなって感じています。
効率的な仕事、充実した生活 ~競技、大学院、そして仕事と主婦~
―:2017年12月から株式会社パソナにご入社されましたが、どのようなお仕事をされておりますか?
草:アスリートのセカンドキャリアについてセミナーで講演を受けつつ、五輪やパラスポーツの事業を手伝っています。あとは社員との交流を深めています。パソナは働く女性がとても多い会社なので、相談(雑談に近いですが)に乗ったりしています。私は皆さんが感じる「嫌なこと」を経験してきているのか、共感できる部分が多いんですね(笑)一緒に解決策を考えています。
―:競技、大学院、仕事のトリプルキャリア。現在は、主婦業も行っていらっしゃいますよね?多忙極まりないですね。
草:やらざるを得ない環境です(笑)最初は本当に大変でした。「全部一生懸命やらなきゃ」と思っていました。朝5時に起きて、24時に帰ってくる生活をやっていて、「本当どうしよう・・・」と。優先順位をつけることができなかったです。今は周りのサポートがあるのでバランスよく行動できています。もちろん練習時間も確保できています。ビーチ―バレーのパートナーや主人、大学関係の方など、周りのサポートがないと今の生活はできてないですね。
―:多忙な日々の中、練習時間は確保できるといっても競技はうまくいったんですか?
草:よかったです。練習時間は減りましたが、自分のコンディションやチーム状況は良くなっていく一方でした。「一緒に五輪まで頑張ろう!」とか、チーム内で信頼関係もさらに深めることができました。今は、自分たちの成長や日々の充実感に目を向けたチームが作れているので楽しいです。

森:タイムマネジメントができることによって、時間を有効活用ができるようになった結果ですか?
草:そうですね。今は優先順位をしっかりつけることができるようになりました。今、やるべきこと、集中するべき判断がつくようになりました。生活や、練習の質を上げて取り組むことが、論文に活きてくるという意味が分かってきました。今は「一日2個以上の予定はいれない。」「1つのことを丁寧に行う」ことを心掛けています。
森:ご主人を支える主婦としてはどうされていますか?
草:食事はなるべく作るようにしています。料理を作ることが趣味なんです。朝早く起きて食事をつくったり、昼に一度家へ戻って作り置きを作ったりと気にしています。家事など手が回らない時は自社パソナの『家事代行サービス』を使っています。ただ、主人は自律している人なので、私がサポートできるところはすごく少なくいと思っています。
森:ご主人が「結婚っていいですよ」って仰っていたと聞いています。確か草野さんは結婚前から今のご主人と結婚したいってずっと仰ってましたよね?
草:そうなんです。結婚っていいですよね。私、ずっと「主人と結婚したい」って言っていました(笑)また夢が叶いました。人生の中で『1番の夢』が叶った瞬間です笑!!!

